Ellipsia by Patrick Caroleo, Jr.

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Patric Caroleo, Jr.(SoundcloudTwitter)
音楽を掘る、「DIG」っていうのに日々情熱を傾けていると、時々こういう作品に巡り合うことがある。

Patric Caroleo, Jr.というNYのlo-fiなフォーク/SSWがBandcampにてName Your Priceでリリースしたばかりのアルバム「Ellipsia」は、昨年僕がjohnny gothの「Gray Sky」ならびにcellar door tapesよりリリースされている作品群に出会ったときと同種の感動、すなわち「Orchid Tapes以降」のベッドルーム・ポップのあり方を提示しベッドルームにまだ可能性があるということを確認させてくれる、またはそこに未来を見せてくれる作品に自分は出会えたんだという感動、をもたらしてくれる作品だ。方法論や技法に何ら新しいものがあるわけでない、非常にシンプルなベッドルーム・レコーディング集だとは思うけれども、その歌声にとにかく惹きつけられる。彼の歌声から溢れ出る情感の豊かなこと!いくつかの楽曲についてはシンセやパッドなどで彩られているものの、基本的には何ら加工されていない「生」のアコースティックギターの鳴りと、喜怒哀楽のうちの「哀」を噛み締めるかのような、または痛みに耐えるかのような歌声、それだけで構成された音楽。それが非常にソウルフルで、心に響く。僕は一聴してflatsoundarrangeとの近似性を「Ellipsia」に見たのだけれども、彼がsoundcloud上で僕のミックスに寄せてくれたコメントによるとRicky Eat Acidの大ファンだということで、それもあながち間違いではなかったのかなと。彼の経歴を検索してみると、過去に数枚の作品を発表しているのが確認出来るのだけれども、ブルーアイドソウル的という表現が似つかわしいように思えるそれらの作品(そのプロダクションの名残りは本作でも各所で聴ける)と、よりアーシーになった本作とでは音楽的な方向性が異なること、また彼のBandcampからはそれらの作品群がオミットされていることもあって、この「Eiiipsia」で心機一転再デビューという想いがあるのではないか・・・ということで、それらに関する言及は野暮に思えるのでこの辺で。そして彼にとってその音楽的な転換の契機となったのが、Ricky Eat AcidやFoxes In Fiction、または2014年にOrchid Tapesよりリリースされたベッドルームポップの記念碑的コンピレーション「Boring Ecstacy」に収録されている面々、のようなアーティストだったのではないか・・・というのは、まだ現段階では僕の勝手な想像に過ぎない。実際、彼がNYのアーティストということで60年代のフレッド・ニールやティム・バックリーなどのグリニッジ・ヴィレッジのフォーク・シンガーたち、またはニック・ドレイクの「ピンク・ムーン」あたりの作風と本作を絡めて語るべき作品なのではないか、とかオルタナティブ・フォークの流れに置くべきものではないかとか、僕自身考えがまとまっていないというのはある。とりあえず本作は現時点ではあくまでもPre-Orderということで、正式な販売スタート以降に本作についての情報が出回るのを待ちたいなと思いながら。僕は本作を購入してから毎晩、一日の終わりに自分の感情の高ぶりだとか落胆だとか、そういった精神のアップダウンを揺り戻してくれる、または鎮静化させてくれる作品としてとても重宝している。
こういう音楽ブログを何年か運営してきて、僕の声は決して大きくないことも、その届く範囲が著しく狭いということも自分は嫌というほどわかっている。けれども、その声を大きくしたいとかしなければとか、僕はまったく思わない。僕のところにもありがたいことに、こんな僕のことをまだ見捨てずにいてくれて、未だに読者でいてくださる方々がいる。まだ見ぬ音楽の情報源としてこのブログを活用してくださっている方々がいる。僕が考えるべきことというのは、自分がDIGった音源をその方々とシェアすることについて。どの音源を、どのように。それがすべて。それに優先するものなんて、自分にはなにひとつないんだよ。(ただ、声が小さいとそれが届く距離にいる人にさえ、聞き取りづらかったりして誤解を招くことがあったりするから、はっきりと、明確に喋らないといけないな、とは常々思っているけど)だから、この「Eclipsia」という素晴らしいアルバムのうち、例えば。まさにベッドルーム・ポップ然としたTrk-2の”Trouble”や、深い悲しみを湛えたTrk-7の”Wound”、本作における個人的なベストトラックである果てしなく美しいTrk-11”Belong”にあなたが実際に耳を傾けてくれて、そしてこのアルバムがあなたのもとへと真っ直ぐに届きますように。読んでくれてありがとう。
カテゴリー: bedroom pop, diy, folk, Indie, SSW パーマリンク

Ellipsia by Patrick Caroleo, Jr. への2件のフィードバック

  1. Just stumbled across this – such a great read for an early morning, many thanks.

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