Now Age by Matthew Barlow

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デンマークのアンビエント/エクスペリメンタル・レーベルPhinery(FacebookSoundcloudTumblrWeb)に関しては、もちろんその存在は知ってはいたものの、個人的にアンビエント系のサウンドに食傷気味だったこともあって完全にノーチェックというか無視を決め込んでいたのだけれども、最近Ash Ra TempelやTangeline Dream、Clusterやもちろんゴッチングなどのいわゆるクラウト・ロックをまとめて聴き直す機会があって、久しぶりにその辺のサウンドの「現在形」を聴いてみたいなあと思っていたときに、偶々このレーベルのリリース一覧に目を通して、僕がこのブログで推しに推しているBlake Meltonの盟友、リッチモンドのBrandon Hurtadoの「Other Spaces」、ex-Purr Tapes、現Cloud Bank主宰Hunter P.ThompsonによるユニットOpalineの「Projector Mapping」(クラウス・シュルツの「Moondawn」やClusterの「Sowiesoso」を想起させるようなエレクトロニックなアンビエントの傑作です)、Holy Page Records(現在は活動休止中)主宰のChristian Michael Filardoの「Turisomo」・・・などなど、2012~2014年初頭くらいに僕がどっぷりと浸かっていたカセット・カルチャーの主要人物・アーティスト名がずらりと並んでいて、シンプルに言ってとても驚いた。そのPhineryの作品群のなかでも特に僕が気に入っているのがこのノースカロライナ在住のアーティストMatthew Barlow(SoundcloudTwitter)による「Now Age」だ。

彼のバイオグラフィーは彼自身の説明によると「Guitarist & sound artist, Matthew Barlow is an explorer of sound. His compositions focus on arrangements of texture, tone, and spacial atmospheres of sonic landscapes crafted from processed samples, cassettes, & field recordings. He resides in the beautiful mountain town of Asheville, NC with his wife and their pug, Taco. 」とのことで、一言にアンビエント/エクスペリメンタルと言っても非常に多彩な作品群を自身のBandcampにて公開している。またその一方で、カセット・レーベルTwin Springs Tapes(FacebookSoundcloudTwitterBandcamp)を主宰する身でもあるという、非常に精力的な活動をみせるアーティストだ。ネット上を検索してみるとオーストラリアのPreservationよりリリースされたアルバム「Sun Showers」について日本語で書かれたレビューなどが結構出てくるので、その筋では有名なのかな?そしてこの「Now Age」であるが、作品に添付された解説によると

The title Now Age could be considered as a commentary of New Age music – specifically it’s spiritual nature -yet the title’s true intent may best be interpreted as a dismissal altogether of New Age music’s mystical ideologies. However, the album by no means wishes to present a brash, atheistic agenda. Content with suspending supernatural belief for a moment, Now Age contemplates the nature of life, and marvels at the idea that we – conscious beings – are all composed of and a part of a majestic cosmos. No mysticism need be invoked should we desire to be amazed by our existence in this world. It is that we exist at all in this expansive universe and that we are connected to it – these are the meditations of Now Age.Above all, Now Age hopes the listener may deepen their understanding of humankind’s connection with the cosmos and our story within it.

とのことなのだけれども、たまにこの手の音源のレビューとかで見たりする「インターネット」こそがニューエイジ運動の結実であるとする論評のその真っ只中にある作品なのかなと深読みして、その手の長い論文にいくらか目を通してみたりもしたのだけれども、根本的に僕はいわゆる「ニューエイジ」思想みたいなものがあまり好きではないというのと、それよりも、このアルバムによって奏でられる極上のアンビエントサウンドに身を任せてしまいたいという欲求からそれらの検証のすべてを僕は放棄した。むしろ、これはAsh Ra Tempelによる「New Age of Earth」へのアンサー的なものとして、シンプルに楽しむべき作品なのではないか、と大胆に開き直って。

本作は全2曲、トータル・タイム約50分と長尺ながらも、エレクトロニック・サウンドとフィールドレコーディングによる波の音や風の音などとのミックスがとても刺激的で、またそのベースとなるシーケンスはゆっくりと常に変化し続けながらも豊潤な叙情性を含有していることもあって、楽天的でも悲観的でもない淡々としたサウンドにも飽きが來ることなくアルバム一枚を丸々聴き通せるような、そんな一枚。電子音楽の面白さがここには詰まっている、と断言してしまおう。そういえば昔、自分も10代後半にBrian Enoの「Discreet Music」や「The Plateaux Of Mirror」に、カセットテレコで録音した生活音をミックスして遊んだりしていたなあ・・・なんて、そんな素人のお遊びと比べるのも失礼極まりないことを思い出したりしつつ、今夜もこのアルバムを眠剤とともに服用しながら眠りを目指したいと思う。

カテゴリー: ambient, electronic, experimental パーマリンク

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