Spitting Blood by Lightsabres

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以前からBandcampサーフをしているときにうっすらと気がついてはいたことなのだけれども、Zig Zagsに出会ってその周辺の音源をDIGっていくうちに確信したことがある。それは、ストーナー/ドゥーム・ロックとプロト・パンク(またはパンク・ロックそのもの)を異なるジャンルとしてではなく、同一線上に置いて再評価する向きが間違いなく存在していて、そういったスタンスからストーナー、プロト・パンクを自身の音楽へと独自にブレンドしているバンドが現在世界中に増殖している、ということ、またそのアーティストたちの多くが「ストーナー・パンク」という名の音楽的様式を掲げているということ、だ。

例えばBlack SabbathでありBlue Cheer、またはBlue Oyster Cultといったストーナーの始祖として崇められているバンドたちは、後続のメタル・バンドたちに与えた影響力の大きさからヘヴィ・メタルの文脈で語られることが多いが、彼らの音楽性を紐解いてみればMC5、ストゥージズといったデトロイト・ロック・バンドからダイレクトな影響を受けていたことは明白であるし、その点に関してはプロト・パンク勢と何ら変わりはないのだが、その本質的な部分では、例えばStoogesの2nd「Funhouse」をサイケデリックなものと解釈してより「ブルース」的なものへと発展させる方向性へと進んだか、むしろシンプルに「ロックンロール」と解釈することでより純化させて行ったかという、その解釈の仕方の相違こそが、元祖ストーナー/ドゥーム・ロック(~メタル)とプロト・パンク(~パンク)との大きな分岐点であった・・・というのは、さすがに強引すぎるかな。ストーナー/ドゥーム・ロック勢には60’sガレージ、サイケ、ジャズ、またはクラウト・ロックとの関係性が確かにあるし、その辺の事情を一切無視した論説でしかないわけだから。けれども、ストーナー・バンドのオリジネイターのひとつとされるKyussなどはハードコア・パンクからの影響を公言して止まないし、CathedralのVoリー・ドリアンに至っては世界最高速を謳ったグラインドコアの始祖Napalm Deathのオリジナル・メンバーだったわけであるし、ストーナー/ドゥーム・ロックのルーツのひとつである伝説的サイケデリック・ロック・バンドHawkwindに在籍していたレミーが、のちにパンクス/メタルヘッズのどちらからも絶大な支持を受けるMotorheadを結成することになるわけで、ストーナー/ドゥーム・ロックと(広義での)パンク、その双方の距離はというのはもともとはそう遠くはないものであることは確かなはずなのだけれども。

Zig Zagsにはまずそういったロック・ヒストリーの体系的理解があって、その後それらを再度分類し直して概念化していく作業の結実としてあのような音楽性へと辿り着いたというインテリジェンスが根底にあると思うのだけれども、恐らくはより直感的・肉感的にストーナー/ドゥーム・ロックとプロト・パンク〜パンク・ロック/ガレージ・パンクを繋ぐプリミティブなアーティストがスウェーデンから現れた。それこそが、冒頭に書いた「ストーナー・パンク」を称するJohn Strömshedによるワンマン・バンド、Lightsabres(FacebookSoundcloud)である。
そもそも、「ストーナー・パンク」というジャンル自体、その定義が確立されたものではないもののようであるし、誰が最初にそう名乗ったか、であるとかその起源・勃興について色々と調べてもみたのだけれども明確なものにはならなかった。僕自身がその名称を(稀にではあるが)目にするようになったのがいつからであったかも記憶は定かではないし、少なくともその多くがマイナー・スレットのイアン・マッケイが提唱した「ストレート・エッジ」、すなわち「Don’t Smoke,Don’t Drink,Don’t Fuck」という、旧来のセックス・ドラッグ・ロックンロール的な価値観へのアンチテーゼにまったく反して、ドラッギーなライフスタイルを過ごしているパンクスたちによる自嘲的なものであろう・・・「ストーナー・パンク」に関してはその程度の認識でしかなかった、という事実をここに認めざるを得ない(「ストーナー・パンク」という名称からは似ても似つかないように思われる音楽性を展開している、イスラエルの70’sスタイルのパンクロック・バンドSweatshop BoysがBandcamp上でそのタグを付けていることなども僕のその誤認へと繋がってしまった、というのはエクスキューズにすぎないことを承知しつつも明記しておく)。
そして、このLightsabresはTUNGA MOLN(FacebookTwitter)というストーナー・ロック・バンド(現在までに2枚のフルアルバムを発表、彼らのBandcampでストリーミング視聴できる)にVo/Gとして在籍しているJohn Strömshedが、TUNGA MOLNでは表現できないその「ストーナー・パンク」的な音楽性を表現するためにスタートさせたプロジェクト、といったところだと思うのだが、これが僕にとっては衝撃的なものであった。
Lightsabresはまず2013年11月に1stアルバム「Demons」をフィジカル/Bandcampでの音源配信という形式で発表する。
まずは目につくであろうアーティスト名のロゴ・マーク/ジャケット・カバー、それらをチョイスしたアーティストがスウェーデン出身であるといった情報から連想してしまうような、デスメタル/ブラックメタル的な暴虐性は皆無であり、TUNGA MOLNでは聴けないファズを目一杯利かせた攻撃的なギター・サウンドが特徴的なストーナー・ロックを中心にて、スペーシーなトラックを随所に配置しつつ、Ty SegallのカバーであるTrk-9″Ceaser”を含む全9曲入りのこのアルバムは、まだこのLightabresの真価が発揮されたものであるとは言い難いものの、地元スウェーデンを中心に注目を集め、限定でリリースされた12インチLPは即日完売になった模様。
問題は次作、2014年9月に発表された2ndアルバム「Spitting Blood」である。
このアルバムでLightsabresは華麗な音楽的転換を遂げた。プロト・パンク的な意匠であり、Reatards以降のガレージ・パンクをほとんど強引といえる手法でもってストーナー・ロックにクロスオーバーさせてみせたのだ。ストーナーとガレージ・パンクがここまでに親和性の高いものであるということにはただただ驚かされるばかりであるし、まさに「ストーナー・パンク」と呼ぶに相応しい楽曲の数々に最初に対峙したときの僕は徹底的に打ちのめされ、そして半ば呆然としてしまった。なんなんだ、この音楽は・・・と。まだ現在は彼がスウェーデンのアーティストということもあってか、英米の大手メディアが追いついていない状態ではあるが、近い将来間違いなくLightsabresは「ストーナー・パンク」というジャンルを確立したアーティストとして、全世界から脚光を浴びる存在になるだろう。そのときこの「Spitiing Blood」は、「ストーナー・パンク」の金字塔として崇め奉られることとなるはずだ。問答無用の大傑作である。
これまでLightsabresは作品をセルフリリースで世に放ってきたが、「Spitting Blood」の充実度に目をつけたであろうニュージャージーのSTB Recordsとの契約を締結、今後のディストリビューションに関してはSTB Recordsが行っていくということで、マーケティング的な意味では間違いなくLightsabresにとっての転機となる次作「Beheaded」のリリース・デイトの発表をいまはただ待つのみである。4月末とかFacebookで言ってたような気がするんだけど、どうなってんだ。
また、いまBandcamp上で「stoner punk」タグからDIGっていくと、世界中からそのタグ付けをされた作品がちょくちょくアップロードされているのが確認出来て、それらは玉石混交というか、はっきり言って聴く価値のない凡庸なものも多いけれども、まさにそのジャンルが黎明期というべきところにいるんだろうなあというような勢いを感じられて非常に面白いので、ストーナーとかガレージ好きな皆様は是非お試しください。
カテゴリー: garage, stoner punk パーマリンク

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