Maigo Yamaoka Interview

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日常的にネットレーベルに関心を持って接している人間の多くの人間が打ち震えるほどに、本当に衝撃的なニュースが約1ヶ月ほど前に僕らに舞い降りてきた。山岡迷子(SoundcloudTwitter)が主宰する迷われレコード(WebTwitter)がULTRA-VYVE,INC.との業務提携を発表、フィジカルCDの全国流通に乗り出すという。山岡ならびに迷われレコードに関しては、彼が全面的にプロデュースしPositive Recordsよりリリースされた女性アーティスト鳴子ナセバのシングル「ギガンティア」 に、僕が寄稿した拙文より大幅に引用することで説明に変えさせていただく。「山岡迷子は迷われレコード―音源の募集要項に「ジャンルはロック、ジャズ、ヒッ プホップ、ノイズ、民族音楽、テクノ、演歌、歌謡曲、ただの生活音、犬の鳴き声、無音、嫌がらせ、なんでも大丈夫」を掲げるアナーキーかつフリーキーな ネットレーベル―の主宰者として、確固たるポジションをインターネット上に築き上げている。音楽への溢れんばかりの愛情でありその開放的なスタンスが故 に、迷われレコードはそれまで自分たちの音楽の行き場を亡くしていたインディペ ンデントなアーティストたちの音源発表の場であるだけでなく、彼彼女たちにとっての「音楽」へのアティチュードの精神的支柱として機能している」・・・山岡であり迷われレコードは、そんな存在である。

その迷われレコードが、ほぼ毎週末にアーティストのメジャー/マイナーを問わず精力的に音源をリリースしていく一方で、昨年より山岡自身のソロ作『ユウタイサンセット』(クロスフェード)、Dubb Parade(SoundcloudTwitter)の『Selected Works』(クロスフェード)、depthqueing(SoundcloudTwitterFacebook))の『For My Adolescense』(クロスフェード)、虚夢(SoundcloudTwitter)の『彼方にいる・・・?』(クロスフェード)の4枚のフィジカルCDをリリースし、自身のWebページにオンラインショップを 開設するだけでなく、各地のCDショップ店頭での販売に乗り出した時点で、僕らは気がつくべきだったのだ。彼は、近年リスナーたちやメディア/ブログ、も ちろんアーティスト/レーベルサイドの人間によっても、数え切れないくらい議論されていた音楽にまつわるマネタイズの問題であり、ネットレーベルの抱える問題、または「限界」に、ひとりで苦悩し、考え、そのうえで真剣にそれらと向き合う覚悟を決めてアクションを起こし始めていたのだ、ということに。

上記の4枚にKISS THE BURNER(SoundcloudTwitter)の『GRID』(クロスフェード)を加えた全5タイトルが明日5月6日より正式に全国流通というこのタイミングで、当ブログでは山岡迷子に緊急インタビューを行った。山岡のインタビューが現在CDショップ店頭などで配布中のJungle Life誌(Web版はこちら。 今回フィジカルリリースされる全作品についてなどが語られています)に掲載されたり、また胸がすくようなギター・サウンドが響き渡る快作『For My Adolescense』が話題を呼んでいるdepthqueingのインタビュー、ならびにアルバムのレビューが「邦楽/洋楽ロックの最新情報を発 信する“WEB&FREE MAGAZINE”」としてお馴染みのSkream!誌の最新号に掲載されたり(Web版はこちら)と、全国流通を前にして迷われレコードが賑やかなことになってきたいま、山岡の心中はいかに。

・・・ なお、今回のインタビューはFacebookメッセンジャーを用いてのチャット形式で行ったものだが、山岡はこちらからの質問のひとつひとつに時間をかけて至極丁寧に、自らの想いの丈を言葉にする作業を、まさにありったけの熱意を持って行ってくれていることがモニター越しにも伝わってくるような、そんな手応えをインタビュアーとして感じることが出来つつも、たとえばリラックスという言葉とは程遠い、非常に緊張感に溢れたインタビューであったことをここに記しておく。

・Jungle Life誌のインタビューが公開されたばかりということで、質問に関してはあちらと被らない、僕のほうではより「コアな」部分に突っ込んで行きたいと思っています。宜しくお願い致します。

山岡「はい、承知致しました。宜しくお願いします。」

・ まずは、ネットレーベルを長年主宰してきた迷子さんが、フィジカルCDのリリースに乗り出した理由をお聞かせ下さい。ネットで音源のフリー配信というところから、フィジカルCDのリリースへ、というステップに、迷われレコードのどういった戦略であり、どういった「想い」があるのか。

山岡「現在ネットレーベルという形でインターネットにおいて盛り上がりを見せていて、才能溢れるミュージシャン達が作った面白い音楽を沢山聴ける状況があり ます。そんな中で迷われレコードも最近はお陰様で、そんな面白いシーンの一端を担うことができるようになったと感じています。ただし、だからといって同じ ような運営方針で淡々と音源をネットでリリースするだけでは、数あるネットレーベルの中の一レーベルとしても、音楽のトレンドの中の1つとしても、ゆっくりと忘れられ、衰退していくだろうという危機感がありました。じゃあ今後レーベルとして何をやっていこうと思ったときに、漠然と浮かんだのがCDをリリー スするということでした。その漠然とした計画を後押ししたのがdepthqueuingの「dawn」という曲です。ソミスさんというCDショップで店員をやりながらネットラジオを放送してるちょっとクレイジーなパーソナリティーがいらっしゃるのですが、そのソミスさんが「dawn」を気に入って、絶対に CDを出すべきだと言ってくれた事をきっかけに、フィジカルCDのリリースに向けて本格的に動くようになりました。
昔からCD屋さんに通うのが好きで、よ く気に入ったジャケットを見ては買って、「なんじゃこの音楽は!」と面白い曲にもクソみたいな曲にも出会ってきました。音楽が好きな人で、ネットレーベルを全く知らない人ってまだまだ沢山いますが、僕みたいにCDショップに通うのが好きな層にもアピールができると思いました。そうやってCD屋さんに置いてもらえれば、ネットレーベルというものが存在していること、その中に迷われレコードというレーベルがあるということを知ってもらえるのではないか。そして、 そうやってレーベルが認知されれば、今までやこれからリリースしてくださるアーティストにも恩返しができるのではないかという想いがあります。まとまりないですが、こんな感じです」
・なるほど。ただ、迷子さんがその「危機感」を抱いた理由というのが、現在の迷われレコードでありインターネット上の音楽の盛況ぶりからはなかなか想像しづらい人も多いのではないかと思うのですけれども、アーティストでありレーベル側への 「還元」の部分とか、そういうこともあってのことでしょうか。
山岡「そういうレーベルとしてリリースすることで アーティストに恩恵があるのか?という部分。リリースしたはいいけど、結局そんなに反応なんてなかったな、とかそういう還元についての危機感もあります。 また、個人的な経験や考えで、ずっと同じことを続けていくコンテンツや会社は、どんなに現在盛況でも、ゆっくりと衰退していくだろうという考えが根底にあ ります」
・わかりました。次に、ULTRA-VYBEとの提携によるCDの全国流通についてお伺い致します。これはどういった経緯で実現したものなのでしょうか。
「今回はULTRA-VYBEさんからお話を頂いたのが始まりです。ディスクユニオンで直接依託販売させてもらってたのですが、それをたまたま見つけてまだ何処とも流通契約を結んでいないのを見て声をかけてくださったそうです」
・ULTRA-VYBE側からの資金の投入、といったものはあったりするのでしょうか?
山岡「ありません。プレスやプロモーションの費用はレーベルで負担しています。ただ、通常は一タイトル毎に流通契約料金が発生するそうですが、今回は無料にして頂きました」
 ・ULTRA-VYBEからの資本の投入がないのであれば、基本的には独立資本ということになりますよね。今後フィジカルCDもリリースし続けていくレーベルとして、マネタイズしていく青写真のようなものがおありですか?
山岡「ぶっちゃけ、ありません。自転車創業です。自己破産してネットリリース用のサーバー代とドメイン代が払えなくなったときがレーベルの最期です」
・ 現在、各地のいくつかのショップにて既にCDの販売はされていますよね。それが今後HMVやタワーレコードなどにCDが置かれると。・・・ということは、 今まではそれらのCDショップには盤が置いては貰えなかった、ということでしょうか。その辺の事情を差し支えなければお教え下さい。
山岡「まず第一に大手CDショップでの取扱を想定していませんでした。 そのため、タワーレコードやHMVに営業をかけていませんでした。 またバーコードを取得していなかったこと、紙ジャケなので背中がないことなどの大手のショップでは取り扱いづらい要因がありました。なので今回は流通に当たって全てジュエルケースの帯付きの仕様にプレスし直しました。紙ジャケ版はもしかしたらプレミアがつく!……といいな(笑)」
・ 迷われレコードがフィジカルCDに乗り出した、または今回の全国流通という話に加えて、この間までデモ音源の募集を迷子さんが中止していたことから、迷わ れレコードが脱ネットレーベル、そしてフィジカルメインのレーベルへと完全に移行しようとしているのかと思ったんです。そういうお考えがあったわけではな いんですよね?
山岡「それは一切ないです!単純に作業を一人でやってるので、(デモ音源の募集を中止していたことは)作業量的な問題です。もうすぐネットリリースも再開されますよ!」
・それは朗報です!いま周囲を見渡して、迷子さんは現在のネットレーベル界隈、「界隈」という言い方もどこからどこまでを含むのか曖昧になってしまうのですけれども、その盛況ぶりについてどのようにお考えですか?具体的に意識しているレーベルなどはおありですか?
山 岡「最近気になってるのはコレコレコーズ、オモイデレーベルです。いつも面白い作品をリリースしてて刺激を受けます。それとマルチネもなんだかんだ気になります。盛況ぶりはまだまだもっともっと数も増えて、レビューするサイトも増えて、ニュースサイトも増えて、デザインする人も増えて欲しいです! 既存のインディーズレーベル、メジャーレーベルを行き来するミュージシャンが増えると面白いですよね。 小林幸子さんは是非ネットレーベルを使って欲しかった……」
・ネットレーベルのメリットとして敷居の低さというのがしばしば挙げられますよね。ランニングコストの問題であったり、リリースにかかるスピード感ですとか。では逆に、迷子さんがこれまで迷われレコードを運営してきたなかで、ネットレーベルのデメリット、または迷われレコードにとって一番の弊害だったこととはなんだったとお考えですか?
山岡「なんでしょうか、あまり考えたことがなかったです……儲からないこと、アーティストが全国に散らばってるからイベントがやりにくいとかくらいしか思い付きません」
・イベントはたしかにやっていただきたいところですね。迷われレコードからリリースしているアーティストたちが一同に会して。ちょっとしたフェスみたいになるのではないかと思うんですけれども(笑)
山岡「1回だけセラミックレコーズさんと一緒に京都でJamborideのお二人や、Caro kissaなどリリースしてくださったアーティストに来てもらってイベントをやったのですが、それ1度切りになっちゃいましたね」
・今後そういったイベントが組まれることを祈っています!それから、先日のM3(注・東京で春と秋の年2回開催される同人音楽即売会。詳しくはwiki参照)についてお話をお伺いします。迷われレコードとして初参加となる今回、相当意気込んで臨まれたかと思うんですけれども、M3にどういった印象をもたれましたか?また、手応えはいかがでしたか?
 山岡「同人音楽即売会ということで、ネットレーベルの音楽ともメジャーシーンの音楽とも、所謂インディーズシーンの音楽とも違う世界観がある印象を受けまし た。まだまだ色々な面白い音楽があるのだと感じました。 手応えについてですが、4タイトルも完売して確かな手応えを感じました。特に、M3の相場では比較的に高値な1000円で販売した depthqueuingのCDが完売したのは自信がつきました。全然知らない人が目の前でCDを試聴して購入してくれる光景というのは、音楽の力を信じたくなる瞬間でした」
・それでは、今後も継続してM3への参加というのは視野に入れていらっしゃるんでしょうか?
「それは今後の本業の方との兼ね合いによるとしかお答えできません。今はまだ無職なので……」
・ 今回のインタビューはあくまでも「レーベル・オーナー」としての迷子さんに色々とお尋ねする趣旨のもとに行わせていただいているわけなんですけれども、唐突ですが、アーティスト山岡迷子にスポットライトを当てたいと思います。「ユウタイサンセット」という区切りとなる作品のリリース、または鳴子ナセバの 2ndシングルを経て、アーティスト山岡迷子は次に何をやろうとしているのか、もうすでにプランはありますか?なんでも、地元のポストロックバンドに加入 したとお聞きしましたが。
山岡「バンドの方は作曲に関わってないので、完全にギタリストとして参加してます。 メタル要素が強かったり、ジャムバンドじゃないとか、初めてのことが多いので新鮮な気持ちでバンドをやっています。ただ、やっぱりメインはソロの宅録の山岡迷子としての活動がメインになると思います。 最近は今まで食わず嫌いで通ってこなかった音楽を聴くことが多いので、そういった要素を取り入れたいと思っています。 それと、一番の本命はほむらんずなんですが、なかなか相方のはぐれ牛鳥さんとのスケジュールの調整がとれてません」
 ・ 以前はご自身の音楽をリスナーに届ける目的で迷われレコードをスタートさせたわけですよね。迷われレコードが多数のリリースを果たした現在、アーティスト 「山岡迷子」としての自我と、迷われレコードのオーナーとしての意識というのは迷子さんのなかで明確に住み分けられているものですか?または、地続きなものでしょうか?
山岡「住み分けようとはするのですが、やっぱり地続きになってます。送られてくるデモ音源の凄さに嫉妬したり、打ちのめされて自信をなくしたりしながら、リリース作業を行っています(笑)ナゴムのケラさんもミュージシャンですが、どういう折り合いを つけながら運営してたのでしょうか……不思議です」
・さて、最後になりますが、このインタビュー記事が公開される翌日から待望のフィジカルCDの全国流通スタート、ということでそれに向けての意気込みと、それから、このエントリーを読んでくださっている方々へのメッセージをお願いします!
山岡「普段ネットレーベルを運営してると一人ぼっちの作業ばっかりなんですが、今回のフィジカルリリースでは沢山の人に協力して頂くことで、漕ぎ着くことができました。 いつも迷われレコードを応援してくださる皆様のパワーを改めて感じることが本当に感謝です。そして、CD買ってください!!そのお金があれば次回作もリ リースできます! 今回リリースする5タイトルはどれも他のレーベルでは聴けないようなユニークな楽曲ばかりですよ!」
 ・以前迷子さんがコンピレーション盤(Link)に寄せたライナーノーツに書かれていた「時代の隅っこであり、最先端である音楽」が、これからいよいよメインストリームへと向かっていくのを僕はいま感じています!本日は貴重なお話をありがとうございました!
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