Best Track of 2014-Blake Melton – 1248 (s u m u o remix)

いち音楽ブロガーとして、アーティストをサポートするために自分には何が出来るのか、というクエスチョンの前で僕はもう長いこと立ち止まってしまっている。音楽を聴いて受けた衝撃や自分の内面の熱を、稚拙でもいいから文章に置き換えてリーダーの方々とシェアする。この数年の間日常的にしていたそんなことが、いつからか自分にとってただの苦行のように思えてきてしまっていて。僕のようななんの影響力もない、現実社会においても音源や盤なんかを共有する人もほとんどいない、そんな僕の「シェア」はいつも、決して誰にも届きはしないからだ。世界で一番大切な人にすら届きもしない僕の言葉や思いに、いったい何の意味があるのか?決して自暴自棄とか自嘲気味になっているわけではない。少なくとも僕にとって「シェア」というのは、それによって自分が圧倒的に無力だという現実と向き合うということ。そしてそのうえで、大切なもののために「血を流す」ということにほかならない。

先月当ブログで公開したk-overの「ルーパー(yzox remix)」についてのエントリーで、構成上の都合により泣く泣くカットしたテキストがある。「ルーパー(yzox remix)」の公開直後にyzox自身がこのリミックスにおけるリファレンス音源をTwitter上にて「#参考にした曲」というハッシュタグ付きで次々とオープンにしたものだ。そのなかに、僕としては絶対に見逃せないものがあった。

s u m u o !!!!!
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フランスのJo Caronによるプロジェクト、s u m u o(FacebookTwitterSoundcloud)はそのキャリアにおいてまさしく自分の血を流し続けてきたアーティストだ。彼にとっての音楽活動とは愛するものを守るための戦いであり、そのスタンスはキャリア初期の代表曲であり、Chillwaveの空気感が持つ開放性/楽天性を集約したかのようなこのトラックの時点ですでに明確に示されていた。

彼の音楽性はEDM(彼の言葉を借りるなら「slowdm」)と一言に言っても、90年代のジャーマントランスに見られるようなドラマツルギー、高揚感に満ち溢れていて、それはCosmic Babyの名曲”Liebe”を即座に想起させるTeeelとのコラボレーション”Cosmic Collision”などに顕著だ。・・・とはいっても彼自身はジャーマントランスに直接影響を受けた、ということはないだろう。むしろ、彼の音楽遍歴、すなわちニューウェーブ、ゴシック、インダストリアル/ボディ・ミュージック、またはシューゲイズ・・・を経て辿り着いた先がトランスなどにも通じるメロディックな音楽性であった、ということではないか。

彼の発言や、彼が発表してきたトラック名などには「子供たち」を直接的に連想させるものが多数見受けられるが、それはまさしく彼にとっての「守るべきもの」であり、加えて彼自身の純粋無垢な性格を投影したメタファーなのであろう。実際のところ彼はあまりにも純粋なパーソナリティの持ち主で、それゆえにネット上のそこいら上に見受けられる悪意の数々に絶望するあまり、かつてほとんどすべてのSNSアカウントを消して「sumuo」名義での音楽活動の停止をアナウンスしたことがある・・・それでも。彼は戻ってきた。深遠な闇を覗き込んでどこまでも傷ついて、真の強さ、前向きさ、チカラ。または「愛」を手にして。

yzoxが「ルーパー(yzox remix)」の制作時にリファレンス音源にしたというこの楽曲は、デモと銘打たれているものの、「俺はもう何も恐れはしない」という強固な意志がかつて彼が発表したトラックのなかでももっとも伝わってくるもので、yzoxがs u m u oに魅せられているというのもこれを聴けば頷ける・・・だろ?

s u m u oは非常に親日家というか、もともと日本の音楽への造詣が深く、坂本龍一、平沢進、LUNA SEA(特にSUGIZOに敬意の念を抱いている模様)、Tha Blue Herbとかは本当にフェイバリットであると。90年代のV系とかの話をしているとその辺をリアルタイムで接してきた僕なんか驚くほどにチェックしていたりするんだけど。で、彼が近年リミックスを行った日本のアーティストっていうのがmus.hibaNOBARAだ。先月1stアルバム「White Girl」がリリースされて国内外での評価の高まりも著しい・・・というか、mus.hibaに関して説明はもういらないかと思うんだけど、そのmus.hibaの”Mazzical Fizzy Drink”のリミックスと、エキセントリシティと痛みを放出しつつそのシューゲイズ・サウンドで壮絶な求心力を身に纏いつつあるNOBARAの”花束”のリミックスのどちらともが、s u m u oというアーティストからの彼彼女への愛、シンパシーの表明であり、俺はなにがあってもお前たちとともにあるんだ、というメッセージが込められたものだったのだと思う。

 

・・・そして。もうこのことを何ヶ月も言いたかったのだけれども。僕の2014年のベストトラックがこれ。s u m u oによるBlake Meltonの”1248″のリミックス!!!!!
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Blake Meltonというリッチモンドのアンビエント/ネオクラシカルのアーティストについては、本当に僕は想いが深すぎて彼が昨年リリースしたアルバム「Cathedral」について何ヶ月も書き続けているテキストがいまだに出来上がっていないほどなのだけれども。本当に知名度もなにもないローカルなアーティストが放つ音楽に、以前書いたように世界中でたった数人だったんだと思う、それでも「僕ら」は心の底から熱狂したんだよ。2012年から2014年のアタマくらいまで、あれはなんだったんだろう?ってくらいに僕らは熱くなっていた。Blake Meltonの音楽を何度も何度もレビューするだけでは自分の中の熱意を整理出来ないところまで来てしまって、僕はBlake Meltonにコンタクトをとり友人の力を借りてインタビューを行った(こちらのエントリー)。のちにそのエントリー文中から自分の発言がどなたかのTumblrに引用されて結構な数のリブログがあって、短期的にそのインタビュー記事にアクセスが集中したりもしたけれど、きっとBlake Meltonのリスナーが増えたってことはほとんどなかったのだと思うし、当時の僕らの、それこそ各自のイデオロギーを左右するレベルにまで高まっていたBlake Meltonというアーティストへの熱意を持つ人がそこいらじゅうに!・・・という風には決してならなかった。ただの自己満足のために僕はBlake Meltonのインタビューをやったんじゃない、それこそ自分の命を賭けて。魂を込めて。彼の音楽を「シェア」しようと思ったんだ。だからその結果っていうのは僕の音楽ブロガーとしての「敗北」を意味したし、自分に今後の進退を問わざるを得ないほどの失意をもたらすことになった。

Blake Meltonの音楽をいつも共にシェアしあっていた僕の大切な友人のプロジェクト、s u m u oから「俺がBlakeのリミックスをやる」と聞いたときの僕の心のざわめき。だとか。その会話から数ヶ月が経って件のリミックスがs u m u oのSoundcloudにて公開されて、それに対面したときの。僕の魂が撃ち抜かれるみたいな、この強烈な音楽体験。

きっと。僕もあなたもそう。いつか人生にはこういうことがやってくるんだよ。自分が生きた時間、大切にした気持ち、ココロ、仲間たちとの小さな「連帯」と、僕らが発した誰にも届かなかった小さな声。世のマジョリティに無残に殺された僕らの「想い」。s u m u oはこのリミックスで、それらのすべてを受け止めてくれた、こんな凄まじいトラックへとそれらを変換してくれた。僕らが生きた時間は、決して!!間違ってはいなかったんだ。

s u m u oがアンビエント寄りのサイドプロジェクトCrying LaHouppeをスタートさせたとき、その楽曲を聴いて僕は彼にこう伝えたことがある。「悲しみっていうのは本当に美しいものだよね」と。彼はそのとき、僕にこう返してくれた-「確かにそうだね。けれども、俺たちはいつかその悲しみを越えていかなければいけないんだよ」-と。さあ、ここから僕たちは悲しみを越えて行こう!それしかないだろ?それ以外に、なにがある?

そして、このエントリーの最後に僕は目一杯背筋を伸ばして、自分の体内に残るありったけの情熱を持ってこう言いたい。僕はs u m u oの誇り高きサポーターのひとりだ。これからも僕はこの場所で、血を流し続けていくんだ。

カテゴリー: ambient, chillwave, electronic, shoegaze パーマリンク

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