Strange Heaven by Mrs. Magician and Jacob Turnbloom’s Death Tape/EMPTY NYQUIL BOTTLES & BROKEN HEARTS by JACOB TURNBLOOM

2012年も終わりが近づいてきて、今年度の年間ベストの話題が日々Twitterとかで飛び交っていて。

いちリスナーが年間を通じてもっとも、いちメディアとして機能するのってこの手のベストアルバムを選出したときなんじゃないかとか思ったりしながら、

それぞれのリストをとても楽しませて頂いているのだけれど。

サンディエゴの至宝、Mrs.MagicianのアルバムStrange Heavenはまだしも、

主要メンバーJacob Turnbloomのソロはどこにもリストアップされていないなあ・・・と寂しい気持ちになることしきりで。

そもそも、「Jacob Turnbloom」でgoogle検索したら出てくる日本語の情報って、全部俺絡みのものじゃないか・・・と。

Jacob Turnbloomについては、以前からその経歴とかも含めて一度書いてみたかったので、

これもまあ、いいキッカケみたいなものなのかなと思い、今回のエントリーに臨んだというわけ。

Jacob Turnbloomは、2000年代半ばにFirst Wave Helloというバンドにてそのキャリアをスタートさせていて、

バンド解散後にはNine Inch NailsやBeckなどのプロデューサーとしても知られるKen Andrewsのツアー・バンドにてギター/コーラスを担当

(Ken Andrewsのライブ・アルバムLive:Secrets Of The Lost Satellites Tour Spring 2007にもその名がクレジットされている)、

その後、短期間Captured Tracksからのリリースでお馴染みのBlessure Graveにドラマーとして加入。

音源には2010年にМИШКАよりリリースされたシングルStrangers In The Houseにのみ参加している。

その後Jacob TurnbloomはMrs.Magician(FacebookTwitterSoundcloudWeb)を、

Go Outsideのスマッシュ・ヒットで話題になったCultsにも参加しているドラマーのCory Stierらと結成。

2010年の10月に自身のレーベルThrill Me!よりセルフ・リリースとなる1stシングルThere Is No Godを、

翌2011年3月には地元サンディエゴのLoud And Clear Recordsより2ndシングルTHE SPELLSをリリース。

そして。

同年11月には同じくサンディエゴのGrizzly Recordsより、大傑作シングルPrescription Visionをリリースする。

60’sガレージからの影響を見事なまでにその音楽性に昇華させ、ポップ・ミュージックならではのマジカルな即効性を猛烈に振り撒きながらも、

Soft BoysやTelevision Personalities、初期XTCにも通ずる屈折したフィーリングを2分足らずの楽曲ですべて表現し尽くしたタイトル・トラックは

誇張抜きにクラシックだ。

また、このシングルが現在のサンディエゴのインディー・シーンにおける最重要レーベル(と断言してしまおう)、

Grizzly Recorsよりリリースされたことも含めて、まさしく近年のサンディエゴのインディー・シーンの勢いを象徴する一枚、

と僕は認識しているのだけれども。

Grizzly Recordsは例えば、現TV GirlのTrung Ngo、現DUDESのRyan Solomonを輩出したDa Bearsのアルバムや、

DUDESの初期音源、Mrs.Magician/CultsのCory Stierが在籍するDRUG WARS

またはCory StierがMrs.Magician/Cults以前に在籍していたBoomSnake

最近だとlo-fi/サーフの最終兵器として話題になったWhite Birdsなど、数々の良質な音源をリリースしてきたレーベルであり、

サンディエゴのインディーバンドたちの精神的支柱として機能しているレーベル・・・というのは僕の勝手な思い込みだけど。

このエントリーでも少し触れたが、サンディエゴがブルックリンやカリフォルニアとはまったく様相の違うシーンを形成するうえで、

その屋台骨として地元紙San Diego Readerや、このGrizzly Recordsがあった、というのは間違いないだろう。

(話は若干逸れるが、個人的にリスペクトしてやまないHi-Hi-WhoopeさんのブログにてDUDESのRyan Solomonのインタビューが掲載されており、

そちらはサンディエゴのシーンのまさしく当事者によって彼の地のことが語られた、非常に貴重なテキストになっているので、要チェック!

また、完全な余談になるのだけれど。

そのDUDESと我が最愛のChaz BellによるH | p sのスプリットがChill Mega Chillよりリリースされる、と数ヶ月前になされたアナウンスは

サンディエゴとアトランタのインディーの最良の部分の、カリフォルニア経由での邂逅として。

例えば。Blithe Fieldのリミックス盤にSlow MagicとRicky Eat Acidがその名を連ねたときのような興奮を僕に与えたし、

これこそ2012年USインディーの最大の事件!!なんて死ぬほど盛り上がったんだけれども。2012年12月12日現在、いまだにリリースされていません・・・)

また、Mrs.Magicianはそういったインディー・ポップ周辺のアーティストだけではなく。

現行の70’sスタイルのパンクリスナーから圧倒的に支持されているex-The SessのAle Mania/Beaters周辺とも

一緒にライブをやってたりするので。彼らの出自を考えれば当たり前なのだけれども。

この辺のサンディエゴのパンクシーンにおけるバンドの立ち位置に関しては、正直なところ僕自身、

情報をまだまだフォローできていないため今回のpostでは省かせていただく。

・・・そして。Mrs.Magicianが今年の5月にリリースした1stフルレングス・アルバム、Strange Heavenが本当に素晴らしい。

前述のシングル収録の楽曲の再録を含む全13曲は、一聴するとまさにサンディエゴ・サウンド!といったガレージ・パンク/パワー・ポップなのだが、

Prescription Visionと同様に60’sガレージをバンド独自の捻れたセンスでもって異化させた、非常に中毒性の高い楽曲ばかりである。

mp3ならBandcampでもiTunesでもAmazonでも購入できるし、

フィジカルはいくらかその流通に難のあるSWAMIからのリリースということで、日本国内であまり見ないかもしれないけれど、

店頭にて見かける機会があったら是非手にとって頂きたい良盤だ。

そして、Mrs.MagicianのStrange Heavenのリリースと前後して、Jacob Turnbloomのソロ名義での音源が発表されていく。

まずは今年5月に上記したGrizzly Recordsより30曲収録のJacob Turnbloom’s Death Tapeを、

そしてほぼ同時期に27曲収録のNYQUIL BOTTOLES AND BROKEN HEARTSをBandcampでセルフリリースする。

Jacob~のほうは数曲しかBandcamp上でのストリーミングに対応していないのが残念なのだけれど。

DL販売もカセットリリースもされているので、興味のある方は是非。

楽曲がそれぞれのアルバムで完全に住み分けされているわけではないが(実際、どちらのアルバムにも名曲Do You Wanna Walk Around In The Darkは収録されていたりする)、

Jacob~がベッドルーム・レコーディング集、EMPTY~がMrs.Magicianの音源とは異なるlo-fiなワンマン・バンドサウンド・・・といった趣が強い。

それぞれにはBeach Boys、Everly Brothers、Boys Next Door(pre-Birthday Party)、Soft Boysなどの

カバーが収録されていて、彼のルーツの一端が垣間見えてとても興味深い(Tracy Morgan、Curtis Williamsのカバーはシニカルな性質のものだとは思うのだけれど・・・)

この計56曲で聴けるのは。

Jacob Turnbloomの卓越したソング・ライティング・センスとその多作ぶりはもちろんのこと、

まるで夏の終わりのような寂寞感に支配された彼の心象風景そのものであり、

憎悪、絶望、孤独、苦悩、葛藤・・・それらのネガティブなエモーションが聴き手に無造作に投げ出されるさまだ。

そして、時折聴こえて来る美しいメロディー/ボーカリゼーションはどこまでも心に響く。

ガレージやパンクロックのファンにはEMPTY~の1曲目Dead Funなんかは親しみやすいものだと思うのだけれども、

他の曲についてはどう感じるのだろう?

個人的には、この2枚のアルバムをElvis Depressedlyの近作と同じ質感、方向性を持った作品として。

とても愛聴させてもらっている。

 

・・・そして、唐突に冒頭の話に戻る。

この長ったらしいエントリーにお付き合いくださった方が、

Jacob Turnbloomのこの2枚のアルバムのどちらかがリストアップされている年間ベストをもしどこかで見かけたら、

是非僕に教えてくださいませ。

僕にとって。その選者は、そのリストは。

いま一番欲しいメディアそのものなので。

 

 

 

カテゴリー: indie pop, lo-fi, power pop, punk, SSW パーマリンク

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