Long Night Is Gone by The Paellas

The Paellasの待望の1stアルバムがDead Funny Recordsよりリリースされた。

今作はフィジカル・リリースもあり、首都圏の大手CDショップでも大々的に展開されているようで。

地方在住の僕は、そんなシーンに出くわすことが出来ないのが悔しくて仕方ないのだけれども。

 

 

このリリースを待っていたのは、僕ら国内のリスナーだけに留まらない、ということはここに明記しておこう。

実際、海外からの彼らへの注目度が日増しに高まっていることは明らかだ。

リリース直後のFuzzbookHEART AND SOULなどの海外ブログによる激賞や。または。

個人的に印象深かったのは。当ブログによるIndoor Voicesのインタビューにおいて、

リーダーのJonathanが最近聴いているアーティストとしてThe Paellasの名前を挙げていたことだ。

Jonathanと僕の今年の夏ごろの会話のなかで「日本のバンドで知っているのはsmileloveとThe Paellasだ。彼らはグレートだ」という発言が飛び出してきたり。

または、彼がFacebookにてFollowing EPを嬉々としてシェアしていて、

彼のミュージシャン仲間が「こいつら、すげえな」なんてコメントしている・・・なんて光景を目撃している僕は。

上記の発言が日本向けのインタビューということで、リップサービスとして日本のバンドの彼らの名を挙げた・・・といった類のものでは決してないことを。

2000%断言出来る。

・・・Jonathanの許可も取らずに、勝手にこんなことを書いていいのかわからないのだけれど。

過去に彼らがBandcampやSoundcloudで発表してきた楽曲や、Following EPのリリースのあとに参加したano(t)raksによる、

日本の現行のインディーシーンの記念碑的なコンピ盤Soonの冒頭を飾った名曲Not So Sweet、

そして純然たる新曲を含む計10曲収録のこのアルバムは、現時点での彼らの集大成といった性格が強いのだろうし。

このアルバム・タイトルと、印象的なアルバム・カバーから。

1曲目のLong Night Comesではじまるその長い夜が明けていくまでのドキュメント、というコンセプチュアルなものであるという見方も出来るだろうし。

または。

これが日本のインディーの夜明けである、これから俺たちがこのシーンを牽引していくのだ、という彼らの強い意思の現れであると読み取ることも可能だろう。

どちらにせよ。今作は。

彼らが同時代のインディー、サーフ、ローファイ・・・それらの音楽を吸収し、

自身の音楽へと昇華していったさまがどこまでもリアルに響くし。

そのクールネスでもって僕らリスナーにすら冷徹な視線を投げかけつつ、過剰なまでに艶やかさをアピールするヴォーカル、

基本的にモノトーンな楽曲を単音弾きのフレーズを中心に彩っていくギター、

マッチョイズムとは無縁なままにその筋力をビルドアップし続けていくリズム・セクション・・・が繰り出す肉感的なバンド・アンサンブルは。

驚異的と言っていいだろう。

 

 

ただ。今作に対峙する前からずっと。

インディー、ローファイ、サーフ、または彼ら自身が自身の音楽性を称した「ナイトタイム・サーフ・ポップ」

・・・といった呼称のどれもが。どうも僕にはしっくりと来ないのだ。

僕はFollowing EPのレビューに臨んだ際に、

彼らに多大な影響を与えたであろう、Joy Divisionの名前を出さずにその音楽について語るというタスクを自らに課したのだが。

彼らがアルバムのリリース前にSoundcloudにアップしたJoy DivisionのLove Will Tear Us Apartのカバー。

僕はこれを聴いて、前述した自分の試みを見透かされたみたいな気恥ずかしさを感じたのだけれど、それはまあどうでもいいとして。

このトラックを聴いたときに、自分のその違和感のようなものの正体に気づかされた。

この原曲に忠実なカバーにおいて、彼らはなんらかの批評的態度を示そうとしたわけではないだろうし、

これは。Joy Divisionへのリスペクトをカタチにして見せようとしたものでも、

もちろん、彼らがイアン・カーティスの魂を2012年に召還しようとしたなどという質のものでもないだろう。

ただ、この曲が好きだから、この曲がかっこいいから、といった理由で彼らはこのカバーに踏み切ったのだと思うのだけれど。

ブリティッシュ・ビート・バンドたちがチャック・ベリーやボー・ディドリーのカバーをそのレパートリーに含ませ。

その後発として世界各地に出没したガレージ・バンドたちがストーンズやキンクスのカバーを行い。

のちにNuggetsやPebbles、Back From The Graveなどの発掘コンピに収録されることによって日の目を見たような、

そんなマイナーなガレージ・バンドのオリジナルの楽曲を70年代の後半、世界中のパンク・バンドたちがこぞって取り上げて・・・という、

ロックンロールの世界では何億回と繰り返されてきたカバーにおけるマナーを。

彼らは無意識的に踏襲しているのではないだろうか。

そして、その「マナー」の根底にあるのは、過去への憧憬と、それを継承しながら同時代に新しいものを構築していくのだという強固な意思であり。

それは、ここにもたしかに息づいているのだ。

彼らは、ロックンロールの系譜に位置すべき存在なのではないか。

 

アルバムのハイライト的ナンバーFall Even Furtherの、まるで生き急ぐかのような性急なビートは。

僕のそんな思いを確信へとターンさせる。

ザ・フーのピート・タウンゼントの名言「ロックンロールは君の悩みを解決したりはしてくれない。悩んだまま踊らせるのだ」になぞらえて言うならば。

これは、「悩んだまま踊る」ことを自らの意思で選択した若者たちによるロックンロールなのだ。

苦悩、不安、恐怖、または。破綻の予感すらも抱えたままに繰り出される、高濃度のロックンロール。

だからこそ、彼らの楽曲はスリリングなのだ。

 

 

The Paellasの長い夜は終わった。そして。

パーティーはまだまだ。これからだ。

<p><a href=”http://vimeo.com/54521046″>Following – The Paellas</a> from <a href=”http://vimeo.com/thepaellas”>The Paellas</a> on <a href=”http://vimeo.com”>Vimeo</a&gt;.</p>

 

カテゴリー: indie pop, lo-fi, new wave, post-punk, surf パーマリンク

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